根こぎ
ねこぎ
名詞
標準
文例 · 用例
近年急に襲うて來た「改造」の嵐の爲に、我邦の人の心に自然なあらゆるものが根こぎにされて、其の代りにペンキ塗りの思想や蝋細工のイズムが、新開地の雜貨店や小料理屋のやうに雜然と無恰好に打建てられて居る最中に、それ程とも思はれぬ天然の風景が方々で保存せられる事になるのは、せめてもの事である。
— 寺田寅彦 『寫生紀行』 青空文庫
棄て置けば狐狸の棲処、さもないまでも乞食の宿、焚火の火|沙汰も不用心、給金出しても人は住まず、持余しものになるのを見済まし、立腐れの柱を根こぎに、瓦屋根を踏倒して、股倉へ掻込む算段、図星図星。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
「阪地は風流だね、洒落に芸者に出すなんざ、悟ったもんですぜ、根こぎで手活にした花を、人助けのため拝ませる、という寸法だろう。
— 泉鏡花 『南地心中』 青空文庫
小さな木などは根こぎになり、藪や何かもめちゃめちゃだ。
— 宮沢賢治 『オツベルと象』 青空文庫
博士はやっぱり鼻であしらうといった風で『だって木が根こぎにならんじゃないか。
— 宮沢賢治 『風野又三郎』 青空文庫
普通なら、彼は復員直後の無気力な虚脱状態のまま、一種、根こぎにされた人となって、ぼんやり日を送ったところだろうが、深夜雨の四ツ辻で、裸の娘を拾ったという偶然は、次々に偶然を呼んで、まるで欠伸をする暇もないくらい、目まぐるしい一昼夜を過したのだ。
— 織田作之助 『夜光虫』 青空文庫
餘り力を入れすぎては、根こぎにするやうなことにもなるだらう。
— 島木健作 『生活の探求』 青空文庫
」 しかし喬木は根こぎにされなければならなかつたし、山裾に、唐鍬はぶち込まれなければならなかつた。
— 島木健作 『生活の探求』 青空文庫