虚威
きょい
名詞
標準
文例 · 用例
)下等士族の輩が上士に対して不平を抱く由縁は、専ら門閥|虚威の一事に在て、然もその門閥家の内にて有力者と称する人物に向て敵対の意を抱くことなれども、その好敵手と思う者が首として自から門閥の陋習を脱したるが故に、下士は恰も戦わんと欲して忽ち敵の所在を失うたる者のごとし。
— 福沢諭吉 『旧藩情』 青空文庫
また今の旧下士族が旧上士族に向い、旧時の門閥虚威を咎めてその停滞を今日に洩らさんとするは、空屋の門に立て案内を乞うがごとく、蛇の脱殻を見て捕えんとする者のごとし。
— 福沢諭吉 『旧藩情』 青空文庫
政府はこの悪弊を矯めんとしてますます虚威を張り、これを嚇しこれを叱し、強いて誠実に移らしめんとしてかえってますます不信に導き、その事情あたかも火をもって火を救うがごとし。
— 福沢諭吉 『学問のすすめ』 青空文庫
古来日本にても愚民の上に暴政府ありて、政府虚威を逞しゅうすれば人民はこれに震い恐れ、あるいは政府の処置を見て現に無理とは思いながら、事の理非を明らかに述べなば必ずその怒りに触れ、後日に至りて暗に役人らに窘しめらるることあらんを恐れて言うべきことをも言うものなし。
— 福沢諭吉 『学問のすすめ』 青空文庫