考え及ぶ
かんがえおよぶ
動詞
標準
文例 · 用例
この点に考え及ぶと私は少し心細くなる。
— 寺田寅彦 『厄年と etc.』 青空文庫
まだ寒いうちから、こういう変人のような枝や幹に対して、何の打合せもなさそうに、あどけない禿のような花の蕾があちらこちらと意外な枝の位置に飛び付いて、それがどこから来たのか、また、いつ来たのか、花それ自身、考え及ぶ能力もないほどの痴呆性の美しさで、ぱらり/\と咲き出します。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
今度こそは大急ぎで一つ蔵書印のすばらしく立派な奴を……」と、いつでも考え及ぶには及ぶのだったが、その都度忘れてしまって、いまだに蔵書印というものを持たないでいる。
— 薄田泣菫 『艸木虫魚』 青空文庫
但しそれ等筑前藩の諸英傑が、何故に維新以後、音も香もなくこの地上から消え失せてしまったかという、その根元の理由に考え及ぶと、筆者も筆を投じて暗然たらざるを得ないものがある。
— 夢野久作 『近世快人伝』 青空文庫
歌舞伎劇に於て、かくまでも発達、完成された形式美と特殊な感覚とを味わい得ないものには、同時に、剣戟という一要素がなぜかくまで大衆小説を発達させ得たかに考え及ぶことは、とても不可能なことだろう。
— 直木三十五 『大衆文芸作法』 青空文庫
一〇 よき生活とはいかなるものかという私が提出しておいた第三の問題が非常に複雑であることは、一般に生活というものがいかに複雑であるかを、ちょっとでも反省してみる人の誰でもが、容易に考え及ぶことができることであろう。
— 三木清 『語られざる哲学』 青空文庫
逃亡中に北紺屋署へ出頭して市電気局を訴えようとしたり、写真館に弟子入りしてそこを手紙の仲介所にしたり、いずれも普通一般の人間の考え及ぶ所ではない。
— 甲賀三郎 『支倉事件』 青空文庫
その家族のことに考え及ぶと、彼等の妻、子女の為めに、婦人で社会事業に携る人々の為すべきことは少くないように思う。
— 宮本百合子 『私の覚え書』 青空文庫