背負い上げ
しょいあげ
名詞
標準
文例 · 用例
そして自分は大きな荷を軽々と背負い上げてその上に馬の皮を乗せた。
— 有島武郎 『カインの末裔』 青空文庫
私はもう自分の疲労も、空腹も、意地も、意気ごみも、一種の狂気も忘れ、いきなり走り戻ると、一郎の前に背中を向けてやり、ぐんなり、崩れ、しっかり両手で纒りついたその小さい身体を、無言のまま背負い上げてやった。
— 田中英光 『箱根の山』 青空文庫
黒っぽい小浜縮緬の振袖をキリキリと着込んで、金と銀の色紙と短冊の模様を刺繍した緋羅紗の帯を乳の上からボンノクボの処へコックリと背負い上げて、切り立てのフェルト草履の爪先を七三に揃えている恰好は尋常の好みでない。
— 夢野久作 『超人鬚野博士』 青空文庫
玉雄は一生懸命で照子を抱え起して、やっと背中に背負い上げて、膝まで来る雪の中を一足一足塔の方へ近寄りましたが、すぐ近くに見える塔がなかなか遠くて、いくら歩いても近寄られません。
— 夢野久作 『雪の塔』 青空文庫
「こりゃなにかえ、お前が、この地蔵様をなにかえ、下から背負い上げたのかえ」「エエ、左様でございますよ」「一人で背負い上げたのかえ」「エヘヘ」「うーん」 米友は唸って、その地蔵様と大男とを見比べました。
— 慢心和尚の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
すると、プカという魔物が彼の後に来ていきなり彼を自分の背中に背負い上げて仕舞いました。
— 宮本百合子訳 『二つの短い話』 青空文庫
「―――自動車云うといてんか、もう十分したら来るように」雪子は毎度のことなので、馴れた手つきでベタキシンのアンプールを鑢で切って、液を注射器に吸い上げると、まだ鏡の前に立ってお太鼓に背負い上げを入れさせている幸子の左の腕をとらえて、肩の辺までまくり上げた。
— 上巻 『細雪』 青空文庫