身辺小説
しんぺんしょうせつ
名詞
標準
novel depicting the author's personal life
文例 · 用例
然るに日本の文壇では、これを単に、「現実」と訳したことから、日本の所謂レアリズムの文学が、単なる日常生活の事実を書き、無意味な現実を平面的に記述するに止まるところの、所謂「身辺小説」となつてしまつたのである。
— 萩原朔太郎 『詩の翻訳について』 青空文庫
否、日本の文壇常識で言われる生活主義の芸術とは、一種の茶人的身辺小説のことであって、真の「生活のための芸術」とは、全然立場を反対にする文学である。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
志賀直哉とその亜流その他の身辺小説作家は一時は「離れて強く人間に即く」ような作品を作ったかも知れないが、その後の彼等の作品がますます人間から離れて行ったのは、もはや否定しがたい事実ではあるまいか。
— 織田作之助 『可能性の文学』 青空文庫
リアリズムの文学が、身辺小説、心境小説に転落して、大衆の興味を失ったのに対して、これに客観性を与え、作者の心境ではなくて、事件そのものの興味、作家の主観をはなれても、それ自身で興味のあるような事件の記録をこれに代置しようとした試みであると解せられる。
— 平林初之輔 『昭和四年の文壇の概観』 青空文庫
しかし、零細な、身辺小説の中にあって、この老大家の精進はたしかに空谷の足音であった。
— 平林初之輔 『昭和四年の文壇の概観』 青空文庫
彼もまた、身辺小説を揚棄して、客観的な世界に眼をむけたという点において、また、創作態度がなおざりでなく、真撃であるという点において、島崎、十一谷両氏と共通なものをもっている。
— 平林初之輔 『昭和四年の文壇の概観』 青空文庫
「一九二八・三・一五」「蟹工船」「不在地主」等の比較的まとまった作品を発表して、プロレタリア身辺小説を掲棄した小林多喜二はこの方面における第一の功労者といって差し支えなかろう。
— 平林初之輔 『昭和四年の文壇の概観』 青空文庫
しかし結局、身辺小説といわれているものに優れた作品の多いことは事実であり、またしたがって当然でもあるが、私はたとい愚作であろうとかまわないから、出来得る限り身辺小説は書きたくないつもりである。
— 横光利一 『作家の生活』 青空文庫
作例 · 標準
その作家の身辺小説は、読者に彼の内面を深く理解させた。
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身辺小説は、私小説とも呼ばれ、作者の実体験に基づいていることが多い。
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彼は新作で、自身の幼少期を綴った身辺小説を発表した。
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