見え初める
みえそめる
動詞
標準
文例 · 用例
やがて横浜港の明るい灯が見え初めるであろう。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
夏近くなって山へ遊びに来る人がぼつぼつ見え初めるじぶんになると、父親は毎朝その品物を手籠へ入れて茶店|迄はこんだ。
— 太宰治 『魚服記』 青空文庫
掌の紋理の「て」の字が見え初める時から寸々に明るく分々に明るくなって、拇指の膨らみの細紋が見え、指の木賊条の縦の繊いのが見え、次第に指頭の渦巻や流れ紋の見えるまで次第々々に夜が明け放たれて、やがて日がさし昇る。
— 幸田露伴 『努力論(現代訳)』 青空文庫
そして、しばらく物をも云はずに考へ込んだやうにしてゐると、急に日が短かくなつたやうに、開けはなしてある椽の方からうす暗い影が見え初めるのであつた。
— 素木しづ 『追憶』 青空文庫
その時この鳶色の奥にぽたりぽたりと鈍き光りが滴るように見え初める。
— 夏目漱石 『カーライル博物館』 青空文庫
そういうときに航海者等は、陸地に近づくに従って海岸が次第に波の彼方から持上ってくるということや、また甲板で見るよりも帆柱の上で見た方が早く陸が見え初めるということを観察したに相違ない。
— スワンテ・アウグスト・アーレニウス Svante August Arrhenius 『宇宙の始まり』 青空文庫
十日目にアラビヤと亜弗利加が稍近く見え初める様に成つて夜間は毛布を重ねて寝る必要があつた。
— 與謝野寛、與謝野晶子 『巴里より』 青空文庫
道はよく覺えてゐませんが、江戸川を渡つて國道らしい舖裝された廣い道を暫く行くと、やがて道の一方には遠く海の方まで續いてゐる水田が見え初める。
— 永井荷風 『畦道』 青空文庫