横側
よこがわ
名詞
標準
文例 · 用例
村の人達の湯にはまた溪ぎわへ出る拱門型に刳った出口がその厚い壁の横側にあいていて、湯に漬って眺めていると、そのアーチ型の空間を眼の高さにたかまって白い瀬のたぎりが見え、溪ぎわから差し出ている楓の枝が見え、ときには弾丸のように擦過して行く川烏の姿が見えた。
— 梶井基次郎 『温泉』 青空文庫
彼が顔を洗う前足の横側には、毛脚の短い絨氈のような毛が密生していて、なるほど人間の化粧道具にもなりそうなのである。
— 梶井基次郎 『愛撫』 青空文庫
此時忽ち私の横側の倚子で頻りに嘲笑つて居る聲、それは例の鷲鳥聲の婦人だ。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
武村兵曹は私の横側で五里霧中の顏。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
靴底の横側が踏板の縁にこすれて軽くささくれ立っているのが、私にも見て取れた。
— THE ADVENTURE OF THE SOLITARY CYCLIST 『自転車乗りの影』 青空文庫
甲野さんも、宗近君もこの精舎を、もっとも趣きある横側の角度から同時に見上げた。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
灰皿の上に竪に挟んだ燐寸箱の横側をしゅっと擦った。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
すると、乳色をした清々しい光線が差し込んでき、その反映で、闇の中から、梁も壁も、妙に白ちゃけた色で現われてきて、その横側がまた、艶々と黝ずんで光っているのだった。
— 小栗虫太郎 『白蟻』 青空文庫