黙裡
もくり
名詞
標準
文例 · 用例
お互が顔を逢せば、忽ち暗黙裡にいろんなことを了解し合ったので、時々僕達こそ選ばれたる種族ではないかと自惚れた。
— 原民喜 『四五ニズム述懐』 青空文庫
ウィレットは何を掌に出し入れしたか考えて震え上がり、一瞬、沈黙裡に恐らくは彼を見張っている番兵がおぞましき棚に並ぶこの洞窟から一目散に逃走したいという衝動を感じた。
— H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft 『チャールズ・デクスター・ウォードの事件』 青空文庫
しかし暗黙裡に、やがて近く城中に大評議がひらかれるという予定は、誰にもわかっていた。
— 第八分冊 『新書太閤記』 青空文庫
(うごくな――)(凝と、枚を啣んで、待機――) 暗黙裡に、江戸中へわかれわかれに住んでいる人々が、鳴りをしずめている形だった。
— 吉川英治 『新編忠臣蔵』 青空文庫
すべてフィールド警部補の手中にあることも暗黙裡だった。
— The Slave of Silence 『くちなしの花』 青空文庫
去年の笠置、赤坂の合戦へは、この伊賀からも、たくさんな参加者があったし、以後も宮方と鎌倉方とが、暗黙裡に、ねめあっている現状なのだ。
— 世の辻の帖 『私本太平記』 青空文庫
みんなは一種の叛逆的な氣分の快さに醉はされたやうに暗默裡に頷いた。
— 南部修太郎 『猫又先生』 青空文庫