石質
せきしつ
名詞
標準
文例 · 用例
)無花果樹はその匝に枝さしかはし、野生の葡萄は柱頭迄|攀ぢ上り、石質の罅隙を生じたる處には、菫花の紫と「マチオラ」の紅とを見る。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
それから、あの場合もう一つ注意を要するのは、中室の周壁をなしている石質なんだ。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
かくのごとく微細生物も、手水鉢や神池の石質土質に従っていろいろと珍品奇種多きも、合祀のために一たび失われてまた見る能わざる例多し。
— 南方熊楠 『神社合祀に関する意見』 青空文庫
この円柱の石質はデオライトという極めて堅い石であって、小藤教授の言に依れば、この石は日本では「緑石」といい、筑波山などは、これから出来ているということである。
— 穂積陳重 『法窓夜話』 青空文庫
それを立てつづけにお銀様は、多くの石刷や、絵像や、堂塔の図面の類を持ち出し、石質がこうの、台座がああの、飾り文はこれを参酌しろのと、あらゆるものを老石工に向って押しつけてしまいました。
— 年魚市の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
二人はついに、この巌蔭の日向のよい地点を選んで、そこを会話の道場としましたが、この巨大なる切石であって、同時に巌石と巌石の形を成している石質の由来を弁信が勘で言い当てました。
— 新月の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
何んと刻せられているかと思って、私は柵の外から黄楊の木の枝をもちあげながら、見てみたが、脆い石質だとみえて石の面が殆んど磨滅していて、わずかに「……童……」という一字だけが残っているきりだった。
— 堀辰雄 『花を持てる女』 青空文庫
水門の左右なる石垣は、谷ならざるに従ひて漸次低下し、石質は一定し居らざるが如し。
— 喜田貞吉 『周防石城山神籠石探検記』 青空文庫