本黒
もとぐろ
名詞
標準
文例 · 用例
間もなく塩引の鮭の刺身やいかの切り込みなどと酒が一本黒い小さな膳にのって来る。
— 宮沢賢治 『なめとこ山の熊』 青空文庫
……体は白く、尾に一本黒の横線がある。
— THE ADVENTURE OF THE BLUE CARBUNCLE 『蒼炎石』 青空文庫
ぬしさんこそ、小芳さんとやらに岡惚れしんすなえ」「腰本黒鍬左衛門とはちと手筋が違うわい。
— 千代田城へ乗り込んだ退屈男 『旗本退屈男 第十一話』 青空文庫
毎日毎日一度|宛、芸当の小手調べとして親爺と揃いの金ピカの猿股を穿いた丸裸体の吾輩が、オヤジの禿頭の上に逆立ちをする事になっていたんだが、そいつを毎日毎日繰返しているうちに、そのオヤジの禿頭のテッペンにタッタ一本黒い、太い毛がピインと生えているのに気が付いたもんだ。
— 夢野久作 『超人鬚野博士』 青空文庫
「あの木――あの盛りあがった樹木のなかに一本黒く見える松の木、お判りか?
— 本庄陸男 『石狩川』 青空文庫
おんしたわしき萩乃どの……左膳は一気に、ぬれ燕ならぬ濡れ筆を、巻紙へ走らせたが、すぐ、「まずいなア」 と一本黒々と線をひいて、そいつを消してしまった。
— こけ猿の巻 『丹下左膳』 青空文庫
どじょうといえば本黒の丸煮、玉子の白味でアクを抜いたわりしたでないと食えないという。
— 矢田津世子 『茶粥の記』 青空文庫
袋のような口をして黒い髭が二本黒子から生えていた夫人はその頃もう大変な年で、何でも銀でこしらえたものが大好きでした。
— 一九四五年(昭和二十年) 『獄中への手紙』 青空文庫