幅狭
はばせま
名詞
標準
文例 · 用例
そこは、東京からか、または伊那盆地から、いきなり飛び込んで来た、観光客には、奇岩怪石の間を、天龍川が幅狭く食い込んで、流れて居るので、たしかに珍らしいに違いない。
— ――生きる為に―― 『山谿に生くる人々』 青空文庫
」 串戯にしてもと、私は吃驚して、言も出ぬのに、女はすぐに幅狭な帯を解いた。
— 泉鏡花 『二、三羽――十二、三羽』 青空文庫
この談話は、主税が立続けに巻煙草を燻らす間に、食堂と客室とに挟まった、その幅狭な休憩室に、差向いでされたので。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
このとき、身に合つた袷の上に、やゝ幅狭の博多帯が硬からず緩からず胸に締つてゐて呉れれば、他に何を望まう。
— 岡本かの子 『新茶』 青空文庫
何、……紡績らしい絣の一枚着に、めりんす友染と、繻子の幅狭な帯をお太鼓に、上から紐でしめて、褪せた桃色の襷掛け……などと言うより、腕露呈に、肱を一杯に張って、片脇に盥を抱えた……と言う方が早い。
— 泉鏡花 『夫人利生記』 青空文庫
幅狭き布子の上掻を引張り合せて、膝小僧を押包み、煮染めたような手拭にて、汗を拭き拭き畏り、手をつきて美人の顔、じっと見詰むる眼に涙。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
講中なんぞの揃らしい、目に立つ浴衣に、萌葱博多の幅狭な帯をちょっきり結びで、二つ提げ淀屋ごのみの煙草入をぶらつかせ、はだけにはだけた胸から襟へ、少々誇張だけれど、嬰児の拳ほどある、木の実だか、貝殻だか、赤く塗った大粒を、ごつごつごつと、素ばらしい珠数を掛けた。
— 泉鏡花 『露萩』 青空文庫
普通ロンドンの辻四輪はお歴々の箱四輪よりも極めて幅狭である。
— A STUDY IN SCARLET 『緋のエチュード』 青空文庫