来孤
らいこ
名詞
標準
文例 · 用例
京一郎の父で塩屋の主、お才の良人の嘉右衛門が、十数年来孤独に住んでいる、庭の奥の林の中の、廃屋の中の部屋であった。
— 国枝史郎 『十二神貝十郎手柄話』 青空文庫
彼らの文学は本来孤独の文学で、現世的、ファン的なものとツナガルところはない筈であるのに、つまり、彼らは、舞台の上のM・Cになりきる強靭さが欠けていて、その弱さを現世的におぎなうようになったのだろうと私は思う。
— 坂口安吾 『不良少年とキリスト』 青空文庫
しかしながら彼らは、どこへ行ってもまたいつでもそうであるが、この小都市においても――異民族であるがために、数世紀来孤立してきて嘲笑的な観察眼が鋭利にされているので――最も進んだ精神の所有者であり、腐蝕した制度や老朽した思想の滑稽な点に最も敏感な精神の所有者であった。
— JEAN-CHRISTOPHE 『ジャン・クリストフ』 青空文庫
然しながら、真宗の寺(京都の両本願寺)は、古来孤独な思想を暗示してきた寺院建築の様式をそのままかりて、世俗生活を肯定する自家の思想に応用しようとしているから、落着がなく、俗悪である。
— 坂口安吾 『日本文化私観』 青空文庫
私が運命と呼ぶのは、不可避的に、精神の整理だの、本來孤獨であるべき高揚だのを中絶せしめ、廢止せしめに來るところの、あらゆる外部の出來事(例へば病氣などをも含めて)を指すのです。
— ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 『或女友達への手紙』 青空文庫