損ずる
そんずる
動詞
標準
文例 · 用例
この町では決闘は、若し、それが正当のものであったなら、役人から受ける刑罰もごく軽く、別に名誉を損ずるほどのことにならぬと聞いていた。
— 太宰治 『女の決闘』 青空文庫
役場では、その決闘と云うものが正当な決闘であったなら、女房の受ける処分は禁獄に過ぎぬから、別に名誉を損ずるものではないと、説明して聞かせたけれど、女房は飽くまで留めて置いて貰おうとした。
— 太宰治 『女の決闘』 青空文庫
それから今までやつた美術品にしても工芸品にしても、一流の定評のあるものばかりで、多分に冒険性を含んだ野心家の「試み」をやられては、折角築き上げて来た芸館の一流品展観所としての貫禄を少からず損ずると、支配人が急に主張し出したといふことも仲介者は伝へた。
— 岡本かの子 『花は勁し』 青空文庫
――道中損ずる事承合ですぜ。
— 泉鏡太郎 『十和田湖』 青空文庫
北条攻は今其最中であるが、関白は悠然たるもので、急に攻めて兵を損ずるようなことはせず、ゆるゆると心|長閑に大兵で取巻いて、城中の兵気の弛緩して其変の起るのを待っている。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
如何となれば材料實質が惡くて、結構も親切ならず、琢磨も行屆かぬものならば、誰しも之を取扱ふに愛惜の情も薄らぐで有らうし、物それ自身も、少々の撞突衝撃にあつても直に損ずるで有らうから、さういふ運命を現ずるも必然の勢である。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
東 粋が身をくふ西 雀百まで躍りやまず 才有り行無くして路花墻柳の間に嬉笑するもの、多くは自ら悦び自ら損ずるを悲めるは東の方の諺にして、※するものを歎ぜるは西の言なり。
— 幸田露伴 『東西伊呂波短歌評釈』 青空文庫
彼はこの書翰のために、有志の面目をも損ずるなるべし、威厳をも傷うなるべし、さても気の毒の至りなるかな。
— 福田英子 『妾の半生涯』 青空文庫