湯上がり
ゆあがり
名詞名詞-の形容詞
標準
after a bath
文例 · 用例
――ええ、ざっとお支度済みで、二度めの湯上がりに薄化粧をなすった、めしものの藍鼠がお顔の影に藤色になって見えますまで、お色の白さったらありません、姿見の前で……」 境が思わず振り返ったことは言うまでもない。
— 泉鏡花 『眉かくしの霊』 青空文庫
今のような怕いことがあるんだから……」 丸あんどんの灯影の下を、小芳のむっちりとした湯上がりの肉体が、不気味な生き物かなんかのように、ぐいと梅甫の両腕の中にいだきよせられました。
— 千代田城へ乗り込んだ退屈男 『旗本退屈男 第十一話』 青空文庫
さっきはつい気がたっていたものでしたから、聞いたふうなせりふをほざきましたが、どうもご眼力には恐れ入りやした」 すると、右門は縁側でひと吹き千両の薫風に吹かれながら、湯上がりの足のつめをしきりとみがいていましたが、にたりと微笑すると、いたわるようにいいました。
— 青眉の女 『右門捕物帖』 青空文庫
郁治の妹の雪子はやせぎすなすらりとした田舎にはめずらしいいい娘だが、湯上がりの薄く化粧した白い顔を夕暮れの暗くなりかけた空気にくっきりと浮き出すように見せて、ぬれ手拭いに石鹸箱を包んだのを持って立っていた。
— 田山花袋 『田舎教師』 青空文庫
ある総代の奥座敷へ通ると、生まれてまだ乗ってみたこともない、高さ一尺もあろうかと思える座蒲団が輝かしく床の間の松竹梅の前に二つ並べられ、いつも私を叱るM老人に似たつやつやと湯上がりの主人の禿頭が、平たく低頭するのだからいい気持だ。
— 大切な雰囲気 『大切な雰囲気』 青空文庫
――あこがれとは波を棲家として時の中に故郷を持たないこと…… そうして、湯上がりの肌を拭いている僕の心には、いつまでも、あの蜘蛛の巣の糸目が、鮮やかな銀色にこびりついていた。
— 原口統三 『二十歳のエチュード』 青空文庫
海の音遠き午後、湯上がりの体を安楽|椅子に倚せて、鳥の音の清きを聞きつつうっとりとしてあれば、さながら去にし春のころここにありける時の心地して、今にも良人の横須賀より来たり訪わん思いもせらるるなりけり。
— 徳冨蘆花 『不如帰 小説』 青空文庫
かつおぶしは、うすい、うすい雁皮のように、湯上がりの乙女の肌のように……。
— 北大路魯山人 『カンナとオンナ』 青空文庫
標準
large towel used after taking a bath