戯心
たわむれこころ
名詞
標準
文例 · 用例
力のやり場に困って身もだえの果、とうとうやけくそな悪戯心を起し背中いっぱいに刺青をした。
— 太宰治 『ロマネスク』 青空文庫
酒井三良氏と、磯部草丘氏と、大智勝観氏と、そして私がこの三人を列べたといふことは、出鱈目に選んだのでも、悪戯心から組み合したのでもない。
— 美術論・画論 『小熊秀雄全集−19−』 青空文庫
すると彼女は、一寸彼を嘲弄して見たい悪戯心が起つて、「創作なの?
— 牧野信一 『父を売る子』 青空文庫
与力としての精神と、酔漢としての戯心とで、彼は真相を知ろうと思った。
— 国枝史郎 『十二神貝十郎手柄話』 青空文庫
朝の早い町家並びでも、正月いっぱいはなんと言っても遊戯心地、休み半分、年季小僧も飯炊きも、そう早くから叩き起されもしないから、夜が明けたと言っても東の色だけで、江戸の巷まちには、まだ蒼茫たる暗黒のにおいが漂い残っていた。
— 宙に浮く屍骸 『釘抜藤吉捕物覚書』 青空文庫
……ほんの妾の悪戯心から、差しあげた独楽が原因となって、こんな恐ろしいことになるなんて。
— 国枝史郎 『仇討姉妹笠』 青空文庫
或る日、何心ない遊戯心から、それを彼等の籠の中に入れて見た。
— 宮本百合子 『小鳥』 青空文庫
が、東京では、平常はどっちかと云えば、決して美くしいとは云われない瓦屋根や、ぼろな垣根やを、まるで、自分の庭丈に降るようにせまい、先ず、じき消えると云う感じを持たせられて居る白いものに降って来られると、かなり遊戯心を起させられる。
— 一九一七年(大正六年) 『日記』 青空文庫