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谷蟆

たにぐく
名詞
1
標準
Japanese toad (Bufo japonicus)
文例 · 用例
ヤァハレ谷蟆のさわたるきはみ、馬の爪とどまるかぎり。
北原白秋 新頌 青空文庫
長歌の方は、「父母を見れば尊し、妻子見ればめぐし愛し、世の中はかくぞ道理」、「地ならば大王います、この照らす日月の下は、天雲の向伏す極、谷蟆のさ渡る極、聞し食す国のまほらぞ」というのが、その主な内容で、現実社会のおろそかにしてはならぬことを云ったものである。
斎藤茂吉 万葉秀歌 青空文庫
それには、古事記に少彦名命の事を知っておるものが久延毘古であり、その事を大国主神に申し上げたものが多邇具久であったという、その谷蟆とは傀儡子の事ではなかろうかというのであった。
古代社会組織の研究 くぐつ名義考 青空文庫
しかるにそのタニグクまたはタニククを、時に或いは「谷蟆」または「谷潜」などと書いたが為に、一般にこれは蟾蜍の事であると解している。
古代社会組織の研究 くぐつ名義考 青空文庫
また同じ語部の語り言の中に、久延毘古が少彦名命の事を知っているとの事を、述べたという多邇具久も、従来谷蟆すなわち蟾蜍と解せられているが、それも蟾蜍と解してはいかにも落ちつかぬ感がないでもない。
古代社会組織の研究 くぐつ名義考 青空文庫
古く祝詞に「谷蟆」の二字を以てタニグクに当ててあるが為に、タニグクはすなわち蝦蟆の古語であろうとは古来一般の解するところである。
古代社会組織の研究 くぐつ名義考 青空文庫
さればよしや古語のタニグクが蝦蟆の類でないとしても、既に祝詞の執筆者がタニグクに谷潜とも谷蟆とも用いてあることを考えてみれば、「潜」にクク(リ)の訓があると同じ様に、「蟆」にもククの古名があって、それをククの仮名に用いたのであったと考えても必ずしも不稽の説ではないのかもしれぬ。
古代社会組織の研究 くぐつ名義考 青空文庫
大体かの少彦名命研究の頃には、谷蟆を以て蟾蜍と解し、蟾蜍が到る処に行き渡る事より、遍満の比喩に引いたのだという旧説に囚われていたが為に、大体において蟆人の解釈には誤謬はないとしても、多少説明に行き届かぬところがあったのだ。
古代社会組織の研究 くぐつ名義考 青空文庫