絨氈
絨氈
名詞
標準
文例 · 用例
絨氈を踏むやうな快感が履物の底に感じられる。
— 有島武郎 『春』 青空文庫
尻に敷いた褥は、可愛らしい高山植物で、チングルマの小さい白花、アカノツカサクラの赤い花などが、絨氈の斑紋になって、浮き上る、焚火の影に、鮮やかな織目を見せる。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
十幾階の角形の建築物や、工場の煙突の上に、白蝶の翼をひろげたように、雪の粉を吹いて、遠くはこんもりと黒く茂った森、柔かい緑の絨氈を畝ねらせる水成岩の丘陵、幾筋かの厚襟をかき合せたカスケード高原の上に、裳裾を引くこと長く、神々しくそそり立つ姿であった。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
今のような裾野となって、富士の登山が一しお悦ばれるのは、絨氈を布く緑青の草と、湿分を放散する豊富な濶葉樹林とにあろう。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
椅子もテエブルも絨氈も、みんな昔のままであった。
— 太宰治 『故郷』 青空文庫
六畳間にとおされて、見ると、部屋の床の間寄りの隅にいつ買いいれたのか鼠いろの天鵞絨が張られた古ものらしいソファがあり、しかも畳のうえには淡緑色の絨氈が敷かれていた。
— 太宰治 『彼は昔の彼ならず』 青空文庫
青い絨氈の上を鏡のない人間が歪んだシルクハット、胸は悲しい葬だ。
— Love on Drought 『恋の一杯売』 青空文庫
向いのN万ビルのマネキン事務所には、アメリカン・スタイルの女たちが地面にカードをひろげたように、緋の絨氈の上でお化粧を始めていた。
— 吉行エイスケ 『大阪万華鏡』 青空文庫