醸
醸
名詞
標準
文例 · 用例
「誰かあはれといふ暮の」といった掛詞風の曖昧性が醸し出されたのだ。
— 九鬼周造 『かれいの贈物』 青空文庫
すずこりが醸みし酒に我れ酔ひにけり、ことなぐし、ゑぐしに我れ酔ひにけり。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
さうして、平凡万能の時勢が、表明するとしないとに関らず醸しだしてゐる空気といふものは、智的なものでも芸術的なものでもないといふことである。
— 中原中也 『作家と孤独』 青空文庫
あわれ、清く、高き、雪の日本アルプス、そのアルプスの一線で、最も天に近い槍ヶ岳、穂高山、常念岳の雪や氷が、森林の中で新醸る玉の水が、上高地を作って、ここが渓流中、色の純美たぐいありともおぼえない、梓川の上流になっている。
— 小島烏水 『梓川の上流』 青空文庫
雰囲気の醸成を企図する事は、やはり自涜であります。
— 太宰治 『芸術ぎらい』 青空文庫
毎晩、私が黙って居ても、夕食のお膳に大きい二合徳利がつけてあって、好意を無にするのもどうかと思い、私は大急ぎで飲むのでありますが、何せ醸造元から直接持って来て居るお酒なので、水など割ってある筈は無し、頗る純粋度が高く、普通のお酒の五合分位に酔うのでした。
— 太宰治 『老ハイデルベルヒ』 青空文庫
ムカシ ムカシノオ話ヨ などと、間の抜けたやうな妙な声で絵本を読んでやりながらも、その胸中には、またおのづから別個の物語が※醸せられてゐるのである。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
曾祖父の代より酒の醸造をもって業としていた。
— 太宰治 『ロマネスク』 青空文庫