恚
恚
名詞
標準
文例 · 用例
權力の祥雲に乘つて居ながら、常に憤ほろしい恚怒に燃え、不斷の爭鬪のために牙をむいてる。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
)おくみ『「忘れまいぞえあのことを」「忘れまいぞえあのことを」(此の言葉を言うとき念仏の句調、以後同じ)ああ、わたしとしたことが、また瞋恚の焔炎に心を焼かれ勿体ないお上人さまをお恨み申そうとしかけていた。
— 岡本かの子 『取返し物語』 青空文庫
此の際、三井寺方の申条に対し瞋恚を抱き、喧嘩、強訴、仕返し、その他何によらず殺伐なる振舞いを企つるものあらば、屹度そなたから留めて貰い度いのじゃ。
— 岡本かの子 『取返し物語』 青空文庫
段々様子が解ってみると、瞋恚が燃ゆるようなことになったので、不埒でも働かれたかのごとく憤り、この二三日は来るごとに、皮肉を言ったり、当擦ったり、つんと拗ねてみたりしていたが、今夜の暗いのはまた格別、大変、吃驚、畜生、殺生なことであった。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
護も貞盛も女達も瞋恚の火を燃さない訳は無い。
— 幸田露伴 『平将門』 青空文庫
そこで、或人は動物と同一なる低級約束たる淫欲を辭し、或人は食味の嗜欲を辭し、或人は耳目の娯樂を辭し、或人は瞋恚爭鬪を辭し、或人は愚癡愛執を辭し、或人は身命を愛するの大慾をも辭して居る。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
十 ねぢけ心といふものゝ少しもない、私部小室は手古奈に對する戀の失敗に就いて、其落膽と失望とは言語に絶えて憐れなさまであつたが心には聊かの嗔恚もない。
— 伊藤左千夫 『古代之少女』 青空文庫
少なくとも三人以上の者が、その主領の死によって、ますます復讐の瞋恚に燃えて、僕を呪い狙っているのであった。
— コナン・ドイル 『空家の冒険』 青空文庫