邃
邃
名詞
標準
文例 · 用例
さうしてこの幽邃な世界のうへに夜は青じろい月の光がてらしてゐる月の光は前栽の植込からしつとりとながれこむ。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
さうしてこの幽邃な世界のうへに夜は青じろい月の光がてらしてゐる月の光は前栽の植込から、しつとりとながれこむ。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
ああ わたしの夢によくみる このひと棲まぬ空家の庭の祕密といつもその謎のとけやらぬ おもむき深き幽邃のなつかしさよ。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
後者の祈祷に至りては『演説』にして詩に非ず、その最も幽邃深玄を極むる者と雖も尚詩形を借りたる論文に外ならず。
— 萩原朔太郎 『散文詩・詩的散文』 青空文庫
ついでに表現の構成を分析すれば、「柚の花」が静かな侘しい感覚を表象し、「母屋」が大きな旧家――別棟や土蔵の付いてる――を聯想させ、「乾隅」が暗く幽邃な位置を表象し、そして「ゆかしき」という言葉が、詩の全体にかけて流動するところの、情緒の流れとなってるのである。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
境遇は円覚寺ほど幽邃ではありませんが、それでも兎に角仕事は終えました、電報までよこして催促している足助に早くこの稿をこれから送ります。
— "Not till the sun excludes you, do I exclude you; 『●「或る女」巻頭のホイットマンの詩』 青空文庫
一歩境内に踏みいると、乱雑なる町家から仕切られて、吉野山の杉林を見るような、幽邃なる杉並木が、富士の女神にさす背光を、支持する大柱であるかの如く、大鳥居まで直線の路をはさんで、森厳に行列している。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
簡素幽邃といふのが、あなたたちの風流の極致だらうぢやないか。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫