握太
握太
名詞
標準
文例 · 用例
彼は握太の黄色いステッキを提げ、額が禿げ上つてゐて出ッ腹の太つた男であつた。
— 中原中也 『校長』 青空文庫
其もさ、刻んだのではないで、一本三ツ切にしたらうといふ握太なのを横啣にしてやらかすのぢや。
— 泉鏡太郎 『高野聖』 青空文庫
目はしょぼしょぼして眉が薄い、腰が曲って大儀そうに、船頭が持つ櫂のような握太な、短い杖をな、唇へあてて手をその上へ重ねて、あれじゃあ持重りがするだろう、鼻を乗せて、気だるそうな、退屈らしい、呼吸づかいも切なそうで、病後り見たような、およそ何だ、身体中の精分が不残集って熟したような鼻ッつきだ。
— 泉鏡花 『政談十二社』 青空文庫
唯見ると、親父は湯玉を拂つて、朱塗に成つて飛出した、が握太な蒼筋を出して、脛を突張つて、髯旦の傍に突立つた。
— 泉鏡太郎 『錢湯』 青空文庫
」 と左右を顧み、下男等に言つけて、持つて來さした握太な杖二本。
— 泉鏡太郎 『麥搗』 青空文庫
愛吉は、握太な柄を取って、べそを掻いた口許を上へ反らして、「こりゃ、酷いや、」「おや、お世話様でございますね。
— 泉鏡花 『式部小路』 青空文庫
と鉄の棒の長さ一尺ばかりにて握太きを小脇に隠し、勝手口より立出しが、この家は用心厳重にて、つい近所への出入にも、鎖を下す掟とかや。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫
まくり手には、鉄の如意かと思う、……しかも握太にして、丈一尺ばかりの木棍を、異様に削りまわした――憚なく申すことを許さるるならば、髣髴として、陽形なるを構えている。
— 泉鏡花 『露萩』 青空文庫