褶
しびら
名詞
標準
文例 · 用例
灘をこえて、水が静かになると、両方の岸を見廻すだけの余裕が出てくる、河原には材木を伐り出す小舎がある、岩石は上流の花崗岩と違つて、小さな褶曲や白や褐色の岩脈が、横に帯をしめたやうな、筋を入れたのが、美しく見える。
— 小島烏水 『天竜川』 青空文庫
足褶 「アツイ」海「ツリ」突出。
— 寺田寅彦 『土佐の地名』 青空文庫
遠く裾野には稻田の黄色い斑の縞模樣が擴がり、其の遙かな向うには名を知らぬ山脈が盛上がつて、其の山腹に刻まれた褶襞の影日向が深い色調で鮮かに畫き出されて居る。
— 寺田寅彦 『伊香保』 青空文庫
二つの溪の間へ楔子のように立っている山と、前方を屏風のように塞いでいる山との間には、一つの溪をその上流へかけて十二|単衣のような山褶が交互に重なっていた。
— 梶井基次郎 『蒼穹』 青空文庫
どっちも緑の褶が樺色に光る同じ色の着物を着ていたジュジュとエレンは、むす子の左右に坐った。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
男列も、女列も、青褶の衣をつけ、紅の長紐を垂れて歌いつ舞った。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
すると音もなく飛びすさるものがあって、数歩の前に富士が、くっきり、雪の褶の目を現わして聳え立った。
— 岡本かの子 『宝永噴火』 青空文庫
だのにあの無生物は永遠の理想を遂げたとでもいうように、白い雪の褶さえ折目正しく取り澄し切っている。
— 岡本かの子 『宝永噴火』 青空文庫