網窓
あみまど
名詞
標準
文例 · 用例
二階の奥の、金網窓の中に、たよりない赤茶けた灯火がさしていて、そこから、人ごえが洩れているのだ。
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
悪人か善人かすぐかぎ出す三吉猿がなついたじゃアないか」「ほほう」というと楠右衛門、金網窓へ半面を向け、槍の穂先をとぎ出したが、「三吉猿がなつくようなら、なるほど悪人じゃアなさそうですね。
— 国枝史郎 『剣侠受難』 青空文庫
よつて福助が馬券所へ這入つて行くと、どの事務員もどの事務員も網窓の上から、福助が此方に買ひに来れば宜いがと、外の御客が手を突つ込んだつて打捨つて置いて、福助の方ばかり見て居る。
— 初代 桂小南 『競馬興行と競馬狂の話』 青空文庫
昭和九年篇 一九三四年(二十五歳)◆昭和九年一月一日発行『川柳人』二五五号自由旗の下に鶴 彬弾丸の来ぬところで○○の詩が出来た ×ヘーゲルの弁証法を逆さにして網窓の春!
— 鶴彬 『鶴彬全川柳』 青空文庫
◆二月一日発行『川柳人』二五六号春近し鶴 彬 1本投げ出す網窓の外の鳥影 2種籾も喰べつくした春の田の雪 3花の東京の亀戸よ娘っこは年貢うらめしの鼠泣きよ 4朝の霜柱ふんでしもやけの耳であぶれきいてくる 5踏みにじられた芝よ春を団結の歌でうづめろ!
— 鶴彬 『鶴彬全川柳』 青空文庫
☆没落の足どりで ダンスホールの 階段を下りる☆外の光りに飢えて 冷蔵庫の 馬鈴薯の芽は枯れた☆もう一度咲かねば出られぬ 網窓の花☆綿ほこりで腐った胸に レールは村へ―― ひた走る◆九月号『詩精神』第一巻第八号川柳「洪水」鶴 彬花つけた稲へ増水の閘門あけっ放すダム!
— 鶴彬 『鶴彬全川柳』 青空文庫
一つ売り 二つ売り ×工賃へらされた金箔で仏像のおめかし ×太陽に飢えてつるはし闇を掘りつづける◆九月一日発行『りうじん街』第一巻第七号八月・九月合併号柳人塔(河北)鶴 彬――自由律川柳――網窓あけ放てば ひらいてた――つぼみよ死ね!
— 鶴彬 『鶴彬全川柳』 青空文庫
父が雛から飼い馴らした吹雪がそこの止まり木に、御野駈の晴の日を待つように、朱房を脚につけて、網窓から映す陽に琥珀いろの眼をぎらぎらさせていた。
— 吉川英治 『御鷹』 青空文庫