夜すがら
よすがら
副詞
標準
all night
文例 · 用例
夜すがら温き春雨に、 風信子華の十六は、黒き葡萄と噴きいでて、 雫かゞやきむらがりぬ。
— 宮沢賢治 『文語詩稿 一百篇』 青空文庫
……晃 委しい事は、夜すがらにも話すとして、知ってる通り……僕は、それ諸国の物語を聞こうと思って、北国筋を歩行いたんだ。
— 泉鏡花 『夜叉ヶ池』 青空文庫
われ、かく思ひて其の夜すがら三坂峠を越え行くに、九十九折なる山道は、聞きしに勝る難所なり。
— 夢野久作 『白くれない』 青空文庫
夜すがら両個の運星|蔽ひし常闇の雲も晴れんとすらん、隠約と隙洩る曙の影は、玉の緒長く座に入りて、光薄るる燈火の下に並べるままの茶碗の一箇に、小き蛾有りて、落ちて浮べり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
ボルネオの海ダヤク人はタウ・テパン(飛頭蛮)を怖るる事甚だし、これはその頭が毎夜体を離れ抜け出でて、夜すがらありたけの悪事を行い、旦近く体へ復るので里閭これと交際を絶ち、諸の厭勝を行いその侵入を禦ぎ、田畠には彼が作物を損じに来る時、その眼と面を傷つくるよう竹槍を密かに植うる。
— 蛇に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
秋の習なればさまで驚くにあれねど、夜すがら、いもねられず、暁近くなりてしばし目どろみぬ。
— 上田敏 『月』 青空文庫
乳母 はれま、結構なお教訓ぢゃ、夜すがら此處に居殘っても、聽聞がしたいわいの。
— ROMEO AND JULIET 『ロミオとヂュリエット』 青空文庫
生命の路に、雌鳥羽に、はた雄鳥羽に、唇觸れあひて相寢ぬる伏葉の亂れ、魂合へる美し睦びに、月は夜すがら見ぞ惚けぬ。
— 薄田淳介 『白羊宮』 青空文庫