薄日
うすび
名詞
標準
soft light
文例 · 用例
その日は昼下りから冬の陽の衰えた薄日も射さなかった。
— 梶井基次郎 『不幸』 青空文庫
昼さがりからは冬の陽の衰えた薄日も射さず、雪こそは降り出さなかったが、その気配を見せている灰色の雲の下に、骨を削ったような榎や樫の木立は、寒い凩に物凄い叫びをあげていた。
— 梶井基次郎 『不幸』 青空文庫
そして睡眠は時雨空の薄日のように、その上を時どきやって来ては消えてゆくほとんど自分とは没交渉なものだった。
— 梶井基次郎 『のんきな患者』 青空文庫
薄日は弱く雲を越さず、畔に咲いた黄蒲公英、咲交る豆の花の、緋、紫にも、ぽつりとも黒い影が見えぬ。
— 泉鏡太郎 『続銀鼎』 青空文庫
…… 色を五百機の碧緑に織つて、濡色の艶透通る薄日の影は――裡に何を棲ますべき――大なる琅※の柱を映し、抱くべく繞るべき翡翠の帳の壁を描く。
— 泉鏡太郎 『十和田湖』 青空文庫
私の心は悲しい……やがて薄日が射し青空が開く。
— 亡き児文也の霊に捧ぐ 『在りし日の歌』 青空文庫
――おお沢山な赤蜻蛉じゃ、このちらちらむらむらと飛散る処へ薄日の射すのが、……あれから見ると、近間ではあるが、もみじに雨の降るように、こう薄りと光ってな、夕日に時雨が来た風情じゃ。
— 泉鏡花 『多神教』 青空文庫
薄日は射したがまだ融けぬ、道芝に腰を落して、お鶴はくの字形に手を小石。
— 泉鏡花 『わか紫』 青空文庫
作例 · 標準
例句