有り
あり
名詞
標準
文例 · 用例
それで味いはあるがつまらぬ歌だというような歌は有り得ない事であろうと思うことに多くの疑いは起らぬけれど、味いというような感じはないが、何処か面白いというような歌はあるいはあるだろうと思われる。
— 伊藤左千夫 『歌の潤い』 青空文庫
これを聞いてか嫂が母に注意したらしく、或日母は常になくむずかしい顔をして、二人を枕もとへ呼びつけ意味有り気な小言を云うた。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」 僕は懐にあった紙の有りたけを力杖に結ぶ。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
いつぞは正氣に復りて夢のさめたる如く、父樣母樣といふ折の有りもやすと覺束なくも一日二日と待たれぬ、空蝉はからを見つゝもなぐさめつ、あはれ門なる柳に秋風のおと聞こえずもがな。
— 樋口一葉 『うつせみ』 青空文庫
いつぞは正気に復りて夢のさめたる如く、父様母様といふ折の有りもやすと覚束なくも一日二日と待たれぬ、空蝉はからを見つつもなぐさめつ、あはれ門なる柳に秋風のおと聞えずもがな。
— 樋口一葉 『うつせみ』 青空文庫
そのくせ内心では、かうした人気のない山道で、美しい娘等と道づれになり、一口でも言葉を交せられることの悦びを心に感じ、空想の有り得べき幸福の中でもぢもぢしながら。
— 萩原朔太郎 『夏帽子』 青空文庫
韻律を離れて尚詩有りと考ふるは一つの妄想である。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
然るに出版書店の方で時日を迫り、版畫職工との煩瑣な交渉を嫌つた爲、止むを得ず有り合せの繪端書を銅版にして代用した。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫