馴々
馴々
名詞
標準
文例 · 用例
土産ものを包んで行った風呂敷を畳みもしないで突込んで、見ッともないほど袂を膨らませて、ぼんやりして帰りがけ、その横町の中程まで来ると、早瀬さん御機嫌宜しゅう、と頓興に馴々しく声を懸けた者がある。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
」と馴々しく云うのが、遅くなった意味には取れず、逆に怨んで聞える。
— 泉鏡花 『妖術』 青空文庫
」 かうした場所だ、對手は弘法樣の化身かも知れないのに、馴々しいことをいふ。
— 泉鏡花 『遺稿』 青空文庫
」 入交って亭主柏屋金蔵、揉手をしながらさきに挨拶に来た時より、打解けまして馴々しく、「どうも行届きませんで、御粗末様でございます。
— 泉鏡花 『湯女の魂』 青空文庫
」 四「流行りません癖に因果と貴方ね、」と口もやや馴々しゅう、「お米の容色がまた評判でございまして、別嬪のお医者、榎の先生と、番町辺、津の守坂下あたりまでも皆が言囃しましたけれども、一向にかかります病人がございません。
— 泉鏡花 『政談十二社』 青空文庫
よれよれの五十銭札みたいに使い古された陳腐な言葉の助けを借りて、何もかも既知の事実にしてしまうという観念の衣裳をまとわぬナイーヴな子供の感受性を、京吉は馴々しく図太い神経の中に持っているのだ。
— 織田作之助 『土曜夫人』 青空文庫
三「坂野さん」 京吉は部屋の前まで来ると、馴々しい声を出した。
— 織田作之助 『土曜夫人』 青空文庫
湯槽にタオルを浸けて、「えらい温るそうでんな」 馴々しく言った。
— 織田作之助 『秋深き』 青空文庫