寝付
ねつけ
名詞
標準
文例 · 用例
悔恨は胸に迫つて、仰に寝ても、横になつても寝付かれなかつた。
— 中原中也 『亡弟』 青空文庫
「また或る晩のこと童子は寝付けないでいつまでも床の上でもがきなさいました。
— 宮沢賢治 『雁の童子』 青空文庫
今思えば、いっそその時に思い切ってどうかすればよかったんですが、わたくしも両親はあり、弟や妹はあり、それを打捨って駈け落ちをするわけにも行かないので、ともかくも師匠をなだめて無事に帰したんですが、それから間もなく師匠はどっと寝付くようになって、とうとうあんなことになってしまいました。
— お化け師匠 『半七捕物帳』 青空文庫
だいぶ前から不眠症にかかって催眠剤を摂らねば寝付きの悪くなっていた彼は、秋近の夜の眠のためには、いよいよ薬を強めねばならなかった。
— 岡本かの子 『金魚撩乱』 青空文庫
隣の茶の間で寝付いたらしい妻は、ときどき泣こうとする子供を「おとうさんがおとうさんが」と囁いて乳房で押て黙らせ、またかすかな寝息を立てている。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫
草枕、旅の露宿に加えて、夢も皺かく老の身ゆえに、寝覚めがちな一夜であるのはもっとものことだが、この夜は別けて翁をして寝付かれしめぬものがあった。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
夜なども胸苦しさうに溜息をしたり、寝返りをしたりして、容易に寝付かれないらしい。
— 平出修 『計画』 青空文庫
父親が中風で寝付くとき忘れずに、銀行の通帳と実印を蒲団の下に隠したので、柳吉も手のつけようがなかった。
— 織田作之助 『夫婦善哉』 青空文庫