謙
けん
名詞
標準
文例 · 用例
私の醜い病癖や、不愉快な神經質的の惱鬱や、厭人思想や、虚僞や、下劣な高慢や、謙遜を裝うた卑屈や、賤劣極まる利己的思想や、混亂紛雜した理智の爭鬪や、畸形な、しかも醜惡を極めた性慾の祕密や、及びそれらのものの生む内面的罪惡や、凡そ私を苦しめ、私を苛責し、私を陰鬱にするところの一切のものが懺悔された。
— 萩原朔太郎 『散文詩・詩的散文』 青空文庫
しかし夫人はあくまで良人に対して謙遜だった。
— 室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ 『小泉八雲の家庭生活』 青空文庫
室生君と芥川君との友情は、實に孔子の所謂「君子の交り」に類するもので、互に對手の人格を崇敬し、恭謙と儀禮と、徳の賞讚とを以て結びついてた。
— 萩原朔太郎 『芥川龍之介の死』 青空文庫
これを道徳面に投射して考へてみると、すべて自分の労を多としないといふ謙譲な気持であると思ふ。
— 中原中也 『詩壇への抱負』 青空文庫
宗教に入つて、尠くも朝と夕方に、帰依する気持があれば、謙譲は持続しやすく、さうであれば、詩的恍惚もミツチリと感じられ、漸次に味の深いものが、生れるやうになる筈だと思つた。
— 中原中也 『詩壇への抱負』 青空文庫
そこで、私としては、良心を澄ませる、即ち謙虚な気持を修熟させることが第一だと思ひ、従つて、当分発表するものは、旧作であるから、それがつまらないからといつて、如上の考へをも愚であるとされたくない。
— 中原中也 『詩壇への抱負』 青空文庫
しかしさうするために、もはや工夫を凝らす余地もないなら……心よ、謙抑にして神恵を待てよ。
— 中原中也 『山羊の歌』 青空文庫
「謙譲なるメーツらよ!
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫