洗い立て
あらいたて
名詞
標準
文例 · 用例
その代わりおそいだろう」 沢庵を洗い立てたるように色揚げしたる編片の古帽子の下より、奴は猿眼を晃かして、「ものは可試だ。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
「そりゃあ、お嬢様あ、磨かなきあなんねえものよ」 婆やは斯う答え乍ら、洗い立てたかやの体を、磨き済ました球の様に大切相に抱いて、もやもやと湯気の立つ風呂桶のなかへ這入った。
— 岡本かの子 『かやの生立』 青空文庫
しかも舟は上だな檜で洗い立ててありますれば、清潔この上なしです。
— 幸田露伴 『幻談』 青空文庫
洗い立ての下着の交差する繊維越しに浮かぶ、清潔な空虚か。
— 富田倫生 『パソコン創世記』 青空文庫
そして夜着にかけた洗い立てのキャリコの裏の冷え冷えするのをふくよかな頤に感じながら心の中で独語ちた。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
今後私の生活がいかように変わろうとも、私は結局在来の支配階級者の所産であるに相違ないことは、黒人種がいくら石鹸で洗い立てられても、黒人種たるを失わないのと同様であるだろう。
— 有島武郎 『宣言一つ』 青空文庫
その傍で半襦袢の毛脛の男たちが、養蚕用の円座をさっさっと水に浸して勢いよく洗い立てる。
— 北原白秋 『木曾川』 青空文庫
この男の横顔や首のあたりの・赤黒く汚れて毛穴の見える皮膚とは、まるで違って、洗い立ての熟したトマトの皮のように張切った銅赤色の光である。
— 中島敦 『狼疾記』 青空文庫