聡慧
そうけい
名詞
標準
文例 · 用例
ある疑問に似たものを持つ思いなしか、眸ざしなどにはその人のよりも聡慧らしさが強く現われては見えるが、切れ長な目の目じりのあたりの艶な所などはよく柏木に似ていると思われた。
— 横笛 『源氏物語』 青空文庫
処女のような含羞があるかと思うと、不良少年のような聡慧さをもっていたが、結局人間的には哀れむべき不具者としか思えなかった。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
百合の国上|埃及の王にして、蜂の国下埃及の王、アモン・ラーの化身、輝けるテーベの主、ウシマレス大王の一子セトナ皇子は、夙に聡慧の誉れが高い。
— 中島敦 『セトナ皇子(仮題)』 青空文庫
顔は美しくはないが、聡慧で媚態があった。
— 森鴎外 『魚玄機』 青空文庫
千代は絶えなんとする渋江氏の血統を僅に繋ぐべき子で、あまつさえ聡慧なので、父母はこれを一粒種と称して鍾愛していると、十九歳になった安永六年の五月三日に、辞世の歌を詠んで死んだ。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
仏典にも『阿毘達磨大毘婆沙論』一一九に、人が父母を殺さば無間地獄に落ちるが、畜生が双親を殺さばどうだと問うに答えて、聡慧なるものは落ちれどしからざるものは落ちずとありて、その釈に、〈かつて聞く一聡慧竜馬、人その種を貪り、母と合せしむ、馬のち暁り知り、勢を断ちて死す〉と見ゆ。
— 馬に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
前項に引いた通り、仏書に、人が父母を殺さば無間地獄に堕ちるが、畜生が双親を殺したらどうだとの問いに答えて、聡慧なる者は落つれどしからざる者は落ちずとあるごとく、馬に取っては迷惑千万だろうが、その忠勤諸他の動物に挺んでたるを見込み、特別の思し召しもて、主人に殉し殺さるるのだ。
— 馬に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
この快活、饒舌、柔和、慇懃、陰険、横柄、勇敢、残忍、聡慧、雄弁、剛胆、狡猾――端倪すべからざる人物は、実に溌剌として紙上に躍っているのが見られるであろう。
— 序 『宝島』 青空文庫