重なり合い
かさなりあい
名詞
標準
文例 · 用例
崩れた山は、何百貫、何千貫の巨岩や、尖ったのや、平ったいのや、砂や、土などに分散して、重なり合い、鉄道線路の掘鑿に一杯になって、土止めに残された岩塊を溢れ出て、報償道路の防塞でかろうじて、食い止めていた。
— ――生きる為に―― 『山谿に生くる人々』 青空文庫
曇硝子のさかずきが数限りなく重なり合い鋼鉄の尺木の顎に花を咲かせている照明燈。
— 岡本かの子 『バットクラス』 青空文庫
しかもこの際読者の網目と前句作者の網目と付け句作者の網目とこの三つのものが最もよく必然的に重なり合い融け合う場合において、その付け合わせは最もすぐれた付け合わせとして感ぜられるのである。
— 寺田寅彦 『連句雑俎』 青空文庫
個人営業のライターの看板を掲げた時期は、一般向け科学雑誌のブームにも重なり合いました。
— 富田倫生 『本の未来』 青空文庫
仄のり色付いた桜の梢を雲のようにして、その上に寛永寺の銅葺屋根が積木のようになって重なり合い、またその背後には、回教風を真似た鋭い塔の尖や、西印度式の五輪塔でも思わすような、建物の上層がもくもくと聳え立っていた。
— 小栗虫太郎 『絶景万国博覧会』 青空文庫
その幻覚と、現実との重なり合いが劇的にシックリしているばかりでなく、色々な印象が細かい処まで非常にハッキリしている点が、特に面白い参考材料であると思います。
— 夢野久作 『幽霊と推進機』 青空文庫
これが波かと思う紺青色の大山脈が、海抜五千|米突の聖エリアス山脈を打ち越す勢いで、青い青い澄み切った空の下を涯てしもなく重なり合いながら押し寄せて来る。
— 夢野久作 『難船小僧』 青空文庫
これは人間の通ったアトの僅かの磨滅の重なり合いがそう見えるので、平生誰も行かないこっちの便所の裏の松原には、そんなものが見えないでしょう。
— 夢野久作 『S岬西洋婦人絞殺事件』 青空文庫