抜三
ぬけさん
名詞
標準
文例 · 用例
疲労の足を引き擦って、石壁の上に登りついたとき、眼は先ず晶々|粲々として、碧空に輝きわたる大雪田、海抜三千百八十九|米突の高頂から放射して、細胞のような小粒の雪が、半ば結晶し、半ば融けて、大気を含んだ、透明の泡が、岩の影に紫色を翳しているのに、眩ゆくなるばかりに駭いた、南方八月の雪!
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
室ごとに請わるるままに、金剛杖に焼印を押すが、不二の象形の下に、合目や岳の名を書いたり、不二形の左右に雲をあしらい、御来光と大書して、下に海抜三千二百何メートルと註してあったり、富士とうずまく雲を下に寄せて、その上に万年雪の詠句を題したものなど、通俗的の意匠が施されている。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
そして七合五勺の室へ来て、海抜三千二百米と、棒杭に註されたのを見たとき、私は身の丈が急に高くなったような気がした。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
即ち「世界の屋根」と呼ばれるヒマラヤ山は、最高峰エヴェレスト Everest は、海抜三万尺の高さに達しているが、ヒマラヤは梵語「雪あるところ」という意義であるそうで、そこから「雪山」という漢訳語も、起因しているのである。
— 小島烏水 『高山の雪』 青空文庫
これから八里の山道を登って、今夜は海抜三千三百三十三尺、八溝山の絶頂に露営する積りである。
— 押川春浪 『本州横断 癇癪徒歩旅行』 青空文庫
痛い痛いと脛を撫でつつ漸くそこに達し、拝殿にも上らず、直ちにその後の丘の上に駆け上ると、ここぞ海抜三千三百三十三尺、高さからいえば富士山の三分の一位のものであるが、人跡余り到らぬ常州第一の深山八溝山の絶頂である。
— 押川春浪 『本州横断 癇癪徒歩旅行』 青空文庫
「そもそもこの八溝山というのは、全く海抜三千三百三十三尺という不思議な高さで、山中には三水と唱える金性水、竜毛水、白毛水の清泉が湧き、五つの瀑布と八つの丘嶽とまた八つの渓谷とがあって、孰れも奇観だ。
— 押川春浪 『本州横断 癇癪徒歩旅行』 青空文庫
ほんの三四回それを繰返すうちに最早ムカデは完全に天空高く浮き出し、伸ばせば伸ばす程悠々と高く、海抜三千尺の矢倉岳の頂きよりも遥かに見える空に登つて、この眺めは一目万両とでも唸つてゐるかのやうであつた。
— 牧野信一 『山峡の凧』 青空文庫