蒔
蒔
名詞
標準
文例 · 用例
丁度日影に蒔かれた貧弱の瓜の種から、一つの貧弱の苗が生え、蔓が伸び、やがて貧弱の實が成るやうに、人間の生涯もまた、最初の種と原因とに、すべての發展する將來の結果を内因して居る。
— 萩原朔太郎 『易者の哲理』 青空文庫
丁度日影に蒔かれた貧弱の瓜の種から、一つの貧弱の苗が生え、蔓が伸び、やがて貧弱の実が成るやうに、人間の生涯もまた、最初の種と原因とに、すべての発展する将来の結果を内因して居る。
— 萩原朔太郎 『易者の哲理』 青空文庫
一重筵の上にして蒔繪の盆や草雙紙さては廚の煤鍋が入り亂れたる狂態を水干やれし古雛のこは狼藉ととがめずや。
— 萩原朔太郎 『煤掃』 青空文庫
ああ いのちの孤獨、われより出でて徘徊し、歩道に種を蒔きてゆく、種を蒔くひと、みづを撒くひと、光るしやつぽのひと、そのこども、しぬびあるきのたそがれに、眼もおよばぬ東京の、いはんかたなきはるけさおぼえ、ぎたる彈く、ぎたる彈く。
— 萩原朔太郎 『ぎたる彈くひと』 青空文庫
之に反して、貧しき境遇にあるもの、生れながらによきキリストの血を受けて長く苦労せる人人の心には、自然とやさしい人情の種が蒔かれて居た。
— 愛の詩集の終りに 『愛の詩集』 青空文庫
下から仰ぎ視て、黒い岩石の山稜に、白胡麻でも蒔いたように、細い雪が入っていると思われるのは、傍へ行くと、十町も二十町もある雪田であり、または山稜の窪みに喰い入った雪堤である。
— 小島烏水 『高山の雪』 青空文庫
友人辻本工学士に拠ると信濃越中の国境に聳えている祖父ヶ岳は、「種蒔き爺さん」が笊を持った具合に現われるので、山腹雪解の頃、偃松が先ずその形に蔓って、出るのではないかという話である、偃松の仲間入は最もおもしろい。
— 小島烏水 『雪の白峰』 青空文庫
そして直ぐに麦蒔きである。
— 葉山嘉樹 『運動会の風景』 青空文庫