押し下げ
おしさげ
名詞
標準
文例 · 用例
勿論問題と云うのは、そういう自企的な材料が、発見されなかった場合にあるのだよ」と鍵盤の前で立ち止って、それを掌でグイと押し下げて云った。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
昨夜脱臼したのなら、直ぐに整復が出来る見込です」「遣って御覧」 花房は佐藤にガアゼを持って来させて、両手の拇指を厚く巻いて、それを口に挿し入れて、下顎を左右二箇所で押えたと思うと、後部を下へぐっと押し下げた。
— 森鴎外 『カズイスチカ』 青空文庫
一郎右衛門は、肩衣を脱いで、袴を、ぐっと下へ押し下げた。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
彼女は、烏啼の部下数名を、巧みなる手段によって籠絡すると、その力を借りて、猫又とお化け鞄とを盗み出させ、それから細紐で自分の手首をしばって、猫又を入れたお化け鞄に結びつけ、鞄の把柄を下へ押し下げた。
— 海野十三 『鞄らしくない鞄』 青空文庫
―― 何年だったか、兎に角その或る薄ら寒い午後、芥川さんは制服の膝をきちんと折って坐って、ぽつぽつ喋りながら、時々、両肱を張って手を胸の前で合わせては上から下へ押し下げるような風をなすった。
— 宮本百合子 『田端の坂』 青空文庫
大衆といい、民衆といい、昨今は国民といい、極めて粗笨な全体主義でおおうたもののいいかたをし、而もその全体の水準を生活全面で最低まで押し下げておいて、全体という言葉の逆用によって、大衆とその一部としての知識人の進歩性を窒息させているのが現実のありようなのである。
— ――今日の民衆、知識人への課題―― 『全体主義への吟味』 青空文庫
かくて唱門師の末流の中においても、その職業の選択を誤まったある者の如きは、次第に低い地位にまで押し下げられていったのである。
— 喜田貞吉 『俗法師考』 青空文庫
そして、必要に応じて鍵にぶらさがったり、つぎにまた自分の身体の重みを全部かけてそれを押し下げたりした。
— DIE VERWANDLUNG 『変身』 青空文庫