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抜荷

ぬけに
名詞
1
標準
文例 · 用例
彼は抜荷買いというもので、夜陰に船を沖へ乗り出して外国船と密貿易をするのであった。
岡本綺堂 心中浪華の春雨 青空文庫
彼は故郷の大坂を立ち退いて、中国西国をさまよううちに、大胆な彼は自分に適当な新しい職業を見いだして、かの抜荷買いの群れにはいった。
岡本綺堂 心中浪華の春雨 青空文庫
千六は長崎へ着くと直ぐに抜荷を買いはじめた。
夢野久作 名娼満月 青空文庫
抜荷というのは今でいう密貿易品のことで、翡翠、水晶、その他の宝玉の類、緞子、繻珍、羅紗なぞいう呉服物、その他禁制品の阿片なぞいうものを、密かに売買いするのであったが、その当時は吉宗将軍以後の御政道の弛みかけていた時分の事だったので、面白いほど儲かった。
夢野久作 名娼満月 青空文庫
この頃長崎中の抜荷買が不思議がっとる福昌号の奸闌繰ちうのはこの味噌桶に違いないわい。
夢野久作 名娼満月 青空文庫
そこで百石積の玄海丸という抜荷専門の帆前船を探し出して顔なじみの船頭に酒手を遣り、水揚人足に命じて車の上の荷物を全部積込ませると、念のためもう一度上陸してこの間の福昌号の裏口に行き、人通りの絶えたところを見計らって地下室の小窓に鼻を近付け、今一度中の様子を窺いてみた。
夢野久作 名娼満月 青空文庫
陸路から伊万里、嬉野を抜ける山道づたいに辛苦艱難をして長崎に這入ると、すぐに仲間の抜荷買を呼集め、それからそれへと右から左に荷を捌かせて、忽ちの中に儲けた数万両を、やはり尽く為替にして大阪の三輪鶴に送り付けた。
夢野久作 名娼満月 青空文庫
これこそ抜荷の取引の残りに相違ないというので与力、同心の眼が急に光り出した。
夢野久作 名娼満月 青空文庫