我田
がでん
名詞
標準
文例 · 用例
勿論我田引水的のところもあろうが、ただこれも一つ参考として教育者の方々に見て頂けば大幸である。
— 寺田寅彦 『物理学実験の教授について』 青空文庫
然しそれはとんだ間違ひで、諸君が日本の人間である以上、一瞬間も諸君は國語學を忽にしてはいけない……」私達の靜肅さに氣を得た先生は、その顏に輕い興奮の色を見せて、國語學の我田引水論を試み始めた。
— 南部修太郎 『猫又先生』 青空文庫
神経衰弱の八割までは眼の屈折異常と関係があるという説を成す医者もあるくらいだから――、とこんな風に僕は我田引水し、これも眼の良い杉山平一などとグルになって、他の眼鏡の使用を必要とする友人を掴えて、さも大発見のようにこの説を唱えて、相手をくさらしているのである。
— 織田作之助 『僕の読書法』 青空文庫
だから、君勇が酔いたいといったのをきいて、小郷はもしかしたら君勇もいよいよ気が折れて、うんというつもりじゃなかろうかと、我田引水した。
— 織田作之助 『それでも私は行く』 青空文庫
従って往々はなはだしく手前勝手な我田引水と思われそうな所説のあることは、自分でも認められ、そうしてはなはだ苦々しくも、おこがましくも感ずるのであるが、それをあえて修飾することなくそのままに投げ出して一つの「実験ノート」として読者の俎上に供する次第である。
— 寺田寅彦 『科学と文学』 青空文庫
少しく我田引水に近いが僕の去年の境遇では、僕がどこまでも精神上の清潔を保持するならば、僕の一家は離散するのほかはなかったし罪悪と知って罪悪を犯した苦しさ悲しさは、いまさら繰り返す必要もない。
— 伊藤左千夫 『去年』 青空文庫
(その後、僕も小山内氏から借りて、この書を讀んで見たが)、氏の紹介に基いて云ふのであるから、或は僕の方へ我田引水のところがあるかも知れない。
— 岩野泡鳴 『神秘的半獸主義』 青空文庫
で、甚だ我田引水のようですが、特別の知識をもって秩序的に研究する人は格別、単にその年代が古いとか、世間にめずらしい品であるとか云うので、特殊の人形を珍重する人はほんとうの人形好きとは云われまいかと思われます。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫