馬牛
ばぎゅう
名詞
標準
文例 · 用例
――に於ても、文壇の事情は同様であり、詩と散文とが風馬牛で、互に何の交渉もなく、各自に別々な道を歩いている。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
そのまま引きさがって、勝治に向い、チベットは諦めて、せめて満洲の医学校、くらいのところで堪忍してくれぬか、といまは必死の説服に努めてみたが、勝治は風馬牛である。
— 太宰治 『花火』 青空文庫
唖のそのわたくしを人々は人外の生物に扱って呉れるのみならず、わたくしは唖の無感覚に於て環境を風馬牛に眺め過せるのでした。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
附馬牛の山男、閉伊川の淵の河童、恐しき息を吐き、怪しき水掻の音を立てて、紙上を抜け出で、眼前に顕るる。
— 泉鏡花 『遠野の奇聞』 青空文庫
下総は延喜式で左馬寮御牧貢馬地として、信濃上野甲斐武蔵の下に在るやうに見えるが、兵部省諸国馬牛|牧式を見ると、高津牧、大結牧、本島牧、長州牧など、沢山な牧があつて、兵部省へ貢馬したものである。
— 幸田露伴 『平将門』 青空文庫
もしまた僻地や寒村から都会に出て美味しい食事を得るような場合でも、その失った良い点が得た所よりも少ない時は、同じようにその人の身体状態が良好になる事は、但馬牛が神戸付近に出て美食を得た為に、急に毛色も美しくなり肉付きが十分に発達するようなものだろう。
— 幸田露伴 『努力論(現代訳)』 青空文庫
父はわたしの教育のことには、ほとんど風馬牛だったが、さりとてわたしを馬鹿にするような真似は、ついぞしたことがない。
— ツルゲーネフ 『はつ恋』 青空文庫
彼らは民衆を基礎として最後の革命を起こしたと称しているけれども、ロシアにおける民衆の大多数なる農民は、その恩恵から除外され、もしくはその恩恵に対して風馬牛であるか、敵意を持ってさえいるように報告されている。
— 有島武郎 『宣言一つ』 青空文庫