徊
徊
名詞
標準
文例 · 用例
そんな年寄りになるまで生きていて、人から老人扱いをされ、浅ましい醜態を曝して徘徊する位なら、今の中に早く死んだ方がどんなにましかも知れない。
— 萩原朔太郎 『老年と人生』 青空文庫
さうして鋪道のある街街には、靜かに音もなく、夢のやうな建物が眠つてゐて、秋の巷の落葉のやうに、閑雅な雜集が徘徊してゐる。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
鋪道に歩いてる人も馬車も、靜かな郷愁に耽りながら、無限の「時」の中を徘徊してゐる。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
けれどもその日の夕刻がきて、薄暮のわびしい光線がちらばふ頃には、ある故しらぬ孤獨の寂しさが、彼等を場末の巷に徘徊させ、また新しい別の酒場の中に、醉つた幸福を眺めさせる。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
ああ何處までも、何處までも、都會の空を徘徊しながら、群集と共に歩いて行かう。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
かつては蒲公英の莖を噛みながら、ひとり物思ひに耽つて徘徊した野川の畔に、今も尚白い菫が咲くだらうか。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
そして尚ボードレエルの言ふやうに、常に群集の中を徘徊してゐる人間は、この世に於て、常に最も孤独な寂しい人間なのである。
— 萩原朔太郎 『僕の孤独癖について』 青空文庫
人はその心境をもとめるために、現實にも夢の中にも、はてなき自然の地方を徘徊する。
— 萩原朔太郎 『散文詩・詩的散文』 青空文庫