皎
たかし
名詞
標準
文例 · 用例
氷のような月が皎々と冴えながら、山気が霧に凝って包みます。
— 泉鏡花 『眉かくしの霊』 青空文庫
もう、網代の大莊屋を出た時から、途中松風と浪ばかり、路に落ちた緋い木の葉も動かない、月は皎々昭々として、磯際の巖も一つ一つ紫水晶のやうに見えて山際の雜樹が青い、穿いた下駄の古鼻緒も霜を置くかと白く冴えた。
— 泉鏡花 『遺稿』 青空文庫
と門附は、背後の壁へ胸を反らして、ちょっと伸上るようにして、戸に立つ男の肩越しに、皎とした月の廓の、細い通を見透かした。
— 泉鏡花 『歌行燈』 青空文庫
今はよく晴れて、沼を囲んだ、樹の袖、樹の裾が、大なる紺青の姿見を抱いて、化粧するようにも見え、立囲った幾千の白い上※が、瑠璃の皎殿を繞り、碧橋を渡って、風に舞うようにも視められた。
— 泉鏡花 『神鷺之巻』 青空文庫
城の石垣に大きな電灯がついていて、後ろの木々に皎々と照っている。
— 梶井基次郎 『城のある町にて』 青空文庫
長なす黒髪を項の中から分けて豊かに垂れ下げ、輪廓の正しい横顔は、無限なるものを想うのみ、邪なる想いなしといい放った皎潔な表情を保ちながら、しら雲の岫を出づる徐なる静けさで横に移って行く。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
月は皎々と照り輝いていました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
雪の下は都会めかしたアスファルトで、その上を昼間は走る亀ノ井バスの女車掌が言うとおり「別府の道頓堀でございます」から、土産物屋、洋品屋、飲食店など殆んど軒並みに皎々と明るかった。
— 織田作之助 『雪の夜』 青空文庫