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青薄

あおすすき
名詞
1
標準
文例 · 用例
さきにはむすびて手を洗ひし、青薄茂きが中の、山の井の水を汲みて、釣瓶を百合の葉にそゝぎ、これせめてものぬれ事師。
泉鏡花 逗子より 青空文庫
八月 向日葵、向日葵、百日紅の昨日も今日も、暑さは蟻の數を算へて、麻野、萱原、青薄、刈萱の芽に秋の近きにも、草いきれ尚ほ曇るまで、立蔽ふ旱雲恐しく、一里塚に鬼はあらずや、並木の小笠如何ならむ。
泉鏡花 月令十二態 青空文庫
夏の夜になると、父親は浴衣がけで、印度産の籐の握り太のステッキを携え、莢豆の棚の間や青薄の蔭に潜む若い男女を、川狩の魚のようにつゝき出した。
岡本かの子 生々流転 青空文庫
飛々に石を置いた向うは、四ツ目に組んだ竹垣で、垣に青薄が生添って、葉の間から蚕豆の花が客を珍らしそうに覗く。
泉鏡花 河伯令嬢 青空文庫
磯馴松は一樹、一本、薄い枝に、濃い梢に、一ツずつ、翠、淡紅色、絵のような、旅館、別荘の窓灯を掛連ね、松露が恋に身を焦す、紅提灯ちらほらと、家と家との間を透く、白砂に影を落して、日暮の打水のまだ乾かぬ茶屋の葭簀も青薄、婦の姿もほのめいて、穂に出て招く風情あり。
泉鏡花 浮舟 青空文庫
十郎の簑にや編まん青薄 これは角田竹冷翁の句であるが、まったく初夏の青すすきには優しい風情がある。
岡本綺堂 綺堂むかし語り 青空文庫
街燈一つないその路は曲りくねっているので、一歩あやまれば転がって尻端折にしている単衣を赭土だらけにするか、根笹や青薄に交って漆の木などの生えた藪畳の中へ落ちて茨に手足を傷つけられるかであった。
田中貢太郎 馬の顔 青空文庫