角櫓
かどやぐら
名詞
標準
文例 · 用例
遠くにはお城の角櫓が見え、その向こうには大内山の木立ちが地平線を柔らかにぼかしている。
— 寺田寅彦 『LIBER STUDIORUM』 青空文庫
ウィリアムも人に劣らじと出陣の用意はするが、時には殺伐な物音に耳を塞いで、高き角櫓に上って遙かに夜鴉の城の方を眺める事がある。
— 夏目漱石 『幻影の盾』 青空文庫
そこでは角櫓と影が溶け合い何もかもが宙に浮かぶかのようかたや街に突き出た塔からは死が巨人のごとく見下ろしている。
— エドガー・A・ポオ Edger A. Poe 『ポオ異界詩集』 青空文庫
其處の三階の小座敷で、鼎形の瓶かけに銀瓶の湯のたぎる音を聽きつゝ、前面の淀川からお城の角櫓の白壁までを見渡したガラス障子越しの眺めに感心して、道臣は直ぐ自分の家にもガラス障子を嵌めたのである。
— 上司小劍 『天滿宮』 青空文庫
中央に農商務省の小さな三角櫓が建ててあった。
— 木暮理太郎 『秩父の奥山』 青空文庫
三角櫓は、折れ残りの一本足を、天の一角に向け、基石の上には、登山者の名札が数枚、板切れと岩片で押えてあった。
— 中村清太郎 『ある偃松の独白』 青空文庫
頂上三角櫓の残骸が一本足を寒天に冲するところ、悪沢、荒川、赤石、聖、上河内、がきりがきりと氷雪の稜線を額を圧して投げかける。
— 中村清太郎 『山岳浄土』 青空文庫