稲城
いなぎ
名詞
標準
文例 · 用例
それに興味を誘われて、さらに読みつづけてゆくと、「稲城家の怪事」という標題の記事を又見付けた。
— 岡本綺堂 『西瓜』 青空文庫
彼は本所の御米蔵のそばに小屋敷を持っている稲城八太郎の奉公人で、その名を伊平といい、上総の八幡在から三月前に出て来た者であった。
— 岡本綺堂 『西瓜』 青空文庫
辻番所でも相当に暇取ったので、長い両国橋を渡って御米蔵に近い稲城の屋敷へ帰り着いたころには、日もまったく暮れ切っていた。
— 岡本綺堂 『西瓜』 青空文庫
稲城は小身の御家人で、主人の八太郎夫婦と下女一人、僕一人の四人暮らしである。
— 岡本綺堂 『西瓜』 青空文庫
稲城の屋敷にはその後別に変ったこともなかった。
— 岡本綺堂 『西瓜』 青空文庫
八太郎は家内の者を戒めて、その一件を他言させなかったが、この記事の筆者は或る時かの池部郷助からその話を洩れ聞いて、稲城の主人にそれを問いただすと、八太郎はまったくその通りであると迷惑そうに答えた。
— 岡本綺堂 『西瓜』 青空文庫
その西瓜を作り出した小原の家については、筆者はなんにも知らなかったので、それを再び稲城に聞きただすと、八太郎も考えながら答えた。
— 岡本綺堂 『西瓜』 青空文庫
親類の葬式もきのうで済んだので、彼は朝からわたしの座敷へ遊びに来て、このあいだの随筆のなかに何か面白い記事はなかったかと訊いたので、わたしはかの「稲城家の怪事」の一件を話して聞かせると、彼は忽ちそれを一笑に付してしまったのである。
— 岡本綺堂 『西瓜』 青空文庫