針先
はりさき
名詞
標準
文例 · 用例
針さしから手頃の針を抜き取り、針先を頭の髪の毛へ突き込んで油をにじませた。
— 岡本かの子 『過去世』 青空文庫
それがちょうど文身の型取りみたいに、細い尖鋭な針先でスウッと引いたような――表皮だけを巧妙にそいだ擦切創とでもいう浅い傷であって、両側ともほぼ直径一寸ほどの円形を作っていて、その円の周囲には、短い線条が百足の足のような形で群生している。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
彼は、そこにある針先ほどの孔を示して、「君、少々講義めくがね、これでも、前の商売のことは、いくらか憶えている。
— 小栗虫太郎 『地虫』 青空文庫
しかしこの機械錐では、針先ほどの孔が当然だと云いたい。
— 小栗虫太郎 『地虫』 青空文庫
中毒と覚しい痕もなければ、皺の深みに隠れている、針先ほどの傷もなく、両眼も※いてはいるが、活気なく物懶そうに濁っている。
— 小栗虫太郎 『人魚謎お岩殺し』 青空文庫
と、戸板にかかった針先をとろうとし、つるりと滑った途端に、菰が摺り落ちて、皮も萎え血もしこり、肉脱した岩の死骸が、ぬるっとばかりに現われた。
— 小栗虫太郎 『人魚謎お岩殺し』 青空文庫
と云って、その四つ以外には針先程の傷もなくて、法水は簡単に全身を調べ終ってしまった。
— 小栗虫太郎 『夢殿殺人事件』 青空文庫
お仙は自分の夏衣の縫い直しにかかっていたが、日永の針仕事に彼女も倦んで来たらしい、針先も見えないようなだるい眼をして、うっとりと手を休めていた。
— 岡本綺堂 『番町皿屋敷』 青空文庫