涵
涵
名詞
標準
文例 · 用例
逆に彼等の爲すべきことは、子供の夢を涵養し、そのフアンタスチツクのドリームランドに、豐潤な肥料を注ぐことでなければならない。
— 萩原朔太郎 『童話と教育について』 青空文庫
さて時代の不安の原因が果して理智の欠乏だとすれば、人は直ちに理智の涵養に取掛かればよいのだし、又共通信条の不在がその原因なればそれの探究に取掛かればよい。
— 中原中也 『感情喪失時代』 青空文庫
日本文学にしろ外国文学にしろ、その作品の「流れ」の諦視、「持続ぶり」「終始ぶり」の諦視、さてはフォルムに就いての理念、その涵養が今日我々の緊急事である。
— 中原中也 『撫でられた象』 青空文庫
そういう精神が涵養されなかったために未だに日本新文学が傑作を生んでいない。
— 太宰治 『虚構の春』 青空文庫
入江に近くにつれて川幅次第に廣く、月は川面に其清光を涵し、左右の堤は次第に遠ざかり、顧れば川上は既に靄にかくれて、舟は何時しか入江に入つて居るのである。
— 國木田獨歩 『少年の悲哀』 青空文庫
こんなことから考えてみると、我国固有の国民思想を保存し涵養させるのでも、いつまでも源平時代の鎧兜を着た日本魂や、滋籐の弓を提げた忠君愛国ばかりを学校で教えるよりも、時にはやはり背広を着て折鞄でも抱えた日本魂をも教える方がよくはないかという気がしたのである。
— 寺田寅彦 『変った話』 青空文庫
譬へばそれは憂鬱な香水に深く涵した剃刀である。
— 萩原朔太郎 『月に吠える』 青空文庫
昼間その温泉に涵りながら「牢門」のそとを眺めていると、明るい日光の下で白く白く高まっている瀬のたぎりが眼の高さに見えた。
— 梶井基次郎 『温泉』 青空文庫