落ち散る
おちちる
動詞
標準
文例 · 用例
その梢に、一面のほうけた絮が、風もないのに、氷でも解けるように、はらり、はらりと、落ち散るのであった。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
机上のコップに投入れて置いた薔薇の大輪が、深夜、くだけるように、ばらりと落ち散る事がある。
— 太宰治 『散華』 青空文庫
(明治四十一年九月十二日『東京朝日新聞』) 二 一葉『淮南子』には一葉落而知天下秋とあるが、植物学者に聞いてみると、木の葉が夏過ぎて落ち散るのは葉柄の根元の処にコルク質の薄い層が出来てそこだけ脆くなるから少しの風にでも誘われて天下の秋を示すものだそうだ。
— 寺田寅彦 『歳時記新註』 青空文庫
藪の中に一本大きな赤椿があって、鵯の渡る頃は、落ち散る花を笹の枝に貫いて戦遊びの陣屋を飾った。
— 寺田寅彦 『森の絵』 青空文庫
4 雨は朝になっていつのまにか本降りと変わり、まことに天地|蕭条、はらりはらりと風のまにまに落ち散る柳葉が、いっそもう悲しくわびしく、ぬれて通る犬までがはかなく鳴いて、おのずから心気もめいるばかりでした。
— のろいのわら人形 『右門捕物帖』 青空文庫
その過去の梨園に落ち散る花びらを拾いあつめて、この一冊をなした。
— 岡本綺堂 『明治劇談 ランプの下にて』 青空文庫
追手の人びとは落ち散る金を見て立った。
— 田中貢太郎 『女賊記』 青空文庫
おれはこのあぶない橋をわたって、おめえさんをむけえに来たのだ」 牡丹の大輪が落ち散るように、萩乃は地面に居くずれたまま、身動きもしない。
— 日光の巻 『丹下左膳』 青空文庫