愡
愡
名詞
標準
文例 · 用例
風情に見愡れて、近江屋の客はただ一人、三角畑の角に立って、山を背に繞らしつつ彳んでいるのであった。
— 泉鏡花 『みさごの鮨』 青空文庫
客は、陽の赤蜻蛉に見愡れた瞳を、ふと、畑際の尾花に映すと、蔭の片袖が悚然とした。
— 泉鏡花 『みさごの鮨』 青空文庫
記者がうっかり見愡れた時、主人が片膝を引いて、前へ屈んで、「辰さん――道普請がある筈だが前途は大丈夫だろうかね。
— 泉鏡花 『半島一奇抄』 青空文庫
何うだ北八、線路の傍の彼の森が鶯花園だよ、畫に描いた天女は賣藥の廣告だ、そんなものに、見愡れるな。
— 泉鏡花 『彌次行』 青空文庫
一同筆紙墨の用意して愡掛りだと云た所で茲に一つ困る事には、大切な黒田様の蔵書を毀すことが出来ない。
— 福翁自伝 『福翁自伝』 青空文庫
やはり立つたまゝで、互ひに緊め合ふやうに腕をまはしてそこにぢつとしてゐた、終るときなきキツスの恍愡のなかに。
— PECHEURS D'ISLANDE 『氷島の漁夫』 青空文庫