貽鮨
いずし
名詞
標準
文例 · 用例
四節に「汝は肉眼をもち給うや、汝の観給う所は人の観るが如くなるや」というは、神の知力は人のそれの如く有限なるかとの問であって、「否しからず神の知力は無限なり、故に拷問を用いずして人に罪あるかなきかを知る、しかるに我れにのみ拷問を用うるは何ぞ」と詰ったのである。
— 内村鑑三 『ヨブ記講演』 青空文庫
もし量子的の考えを用いずしてすべての現象が矛盾なしに説明され得るのであったら、何を苦しんで殊更に複雑な統計的の理論を担ぎ出す必要があるであろうか。
— 寺田寅彦 『方則について』 青空文庫
景隆の炳文に代るや、燕王其の五十万の兵を恐れずして、其の五|敗兆を具せるを指摘し、我|之を擒にせんのみ、と云い、諸将の言を用いずして、北平を世子に守らしめ、東に出でゝ、遼東の江陰侯呉高を永平より逐い、転じて大寧に至りて之を抜き、寧王を擁して関に入る。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
ひいさまは、おねえさまたちにあいずして、にっこりわらいかけて、こちらは不足なくしあわせにしている話をしようとすると、そこへ、船のボーイがふしんらしく寄って来たので、おねえさまたちは水にもぐりました。
— DEN LILLE HAVFRUE 『人魚のひいさま』 青空文庫
すると、力の強い、大男の命ですから、力いっぱいずしんずしんと乱暴にお歩きになると、山も川もめりめりとゆるぎだし、世界じゅうがみしみしと震い動きました。
— 鈴木三重吉 『古事記物語』 青空文庫
国文の典型たる『土佐日記』に、筆者貫之朝臣の一行が土佐を出てより海上の斎忌厳しく慎みおりしに、日数経てやっと室津に着き、「女これかれ浴みなどせむとて、あたりの宜しき所に下りて往く云々、何の葦影に託けて、ほやのつまのいずし、すしあはびをぞ、心にもあらぬ脛にあげて見せける」。
— 馬に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
それは海の神に怖ぢてといひて、何の蘆蔭にことづけてほやのつまのいずしすしあはびをぞ心にもあらぬはぎにあげて見せける。
— 紀貫之 『土佐日記』 青空文庫
ひそかに思うに、世の富豪は辞令を用いずして官職に任ぜられおるがごときものである。
— 河上肇 『貧乏物語』 青空文庫