覊
覊
名詞
標準
文例 · 用例
その時人々は、現實に充たされない多くの欲望を、夢で自由に充たすことができる上に、意識をその決定する因果の法則から、自由に解放することによつて、あらゆる放縱不覊なイメージや美的意匠を、夢で藝術することができるのである。
— 萩原朔太郎 『夢』 青空文庫
支配人の内川、職長の小山、大津、守田、会計の岩井、みな、コセ/\した内地に愛想をつかして、覊絆のない奔放な土地にあこがれ、朝鮮、満洲へ足を踏み出した者ばかりだ。
— 黒島傳治 『武装せる市街』 青空文庫
これに反してもっとまじめで真剣なだけにいちばん罪の深い人間的な宣伝の場合と思われるのは、避くべからざる覊絆によって結ばれた集団の内部で、暗黙のうちに行なわれる、朋党の争いである。
— 寺田寅彦 『神田を散歩して』 青空文庫
」 厚化粧した彼女の覊絆の下で男が云った。
— 吉行エイスケ 『女百貨店』 青空文庫
そのため平常克服してゐたところの性慾が、意志の覊絆を離れて奔放に暴れ※る。
— 萩原朔太郎 『酒に就いて』 青空文庫
滔々として天地と共に流れている卓犖不覊の大河の流れと知られ、歪めば歪んだなりに直く、切ない痛苦は痛苦のままにして、息詰まるほどの快楽でもございましょう。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
それに就けても濱島武文は昔ながら壯快い氣象だ、たゞ一人の兒を帝國の軍人に養成せんが爲めに恩愛の覊を斷切つて、本國へ送つてやるとは隨分思ひ切つた事だ。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
この世の覊絆と濁穢を脱ぎ捨てるという心持ちもいくぶんあるかと思われる。
— 寺田寅彦 『藤棚の陰から』 青空文庫