笹縁
ささべり
名詞
標準
文例 · 用例
いかに現在の計測を精鋭にゆきわたらせることができたとしても、過去と未来には末広がりに朦朧たる不明の笹縁がつきまとってくる。
— 寺田寅彦 『野球時代』 青空文庫
のみならずいろいろな雑音はその音源の印象が不判明であるがために、その喚起する連想の周囲には簡単に名状し記載することのできない潜在意識的な情緒の陰影あるいは笹縁がついている。
— 寺田寅彦 『映画芸術』 青空文庫
それが徴兵検査であっただけにそのびっくりはかなり複雑な感情の笹縁をつけたびっくりであったのである。
— 寺田寅彦 『自由画稿』 青空文庫
藍の地に簡単に白で模様を抜くだけならさしたる事でもないが、葉子は他人のまだしなかった試みを加えようとして、模様の周囲に藍と白とを組み合わせにした小さな笹縁のようなものを浮き上げて編み込んだり、ひどく伸び縮みがして模様が歪形にならないように、目立たないようにカタン糸を編み込んで見たりした。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
田川夫人は忙しく葉子から目を移して、群集に取っときの笑顔を見せながら、レースで笹縁を取ったハンケチを振らねばならなかった。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
青灰色によごれていた雲そのものすらが見違えるように白く軽くなって美しい笹縁をつけていた。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
行き過ぎた禿の背には赤地に黒の笹縁をとつた小判形の前垂のやうなものが一杯にさげてある。
— 長塚節 『菜の花』 青空文庫
)Well my dear, あれは遠い遠い向うの國のことだね、おれもお前も知らない國のこと、銀紙のピカピカ光る小枝に綿の笹縁の雪、七面鳥と土産の麥酒に笑ひさざめく一家内。
— 福士幸次郎 『展望』 青空文庫